古家と出会う
高岡駅から古城公園を眺めてとおりすぎ市役所近くに着いたところが、めざす一件目の古家である。こちらの空き家は任意売却となっていて、建物に銀行の担保がのこっている。そのため買付を入れても売主に決定権がなく、銀行決裁等の手続きが必要となる。
現地で不動産仲介業者とおちあい、いざ家のなかへ。自分の家もそうだが、北陸は雪国なので建物も大柄でしっかりしている。よくある長屋風のひょろっとした連棟とは趣がちがう。なかに入るとキッチンと食卓があり、廊下を挟んで居間と広間と仏間が広がっている。広間と仏間の奥には、縁側がある。二階は大きめの寝室と勉強部屋のような部屋がふたつ。
とにかく部屋数が多く、家が広い。また多くの残置物がのこっていて、生活感が満載だった。仏壇のちかくに亡くなられた方の遺影が飾られているところなんか生々しい。
僕はこのとき実家と似ているなとおもった。ここで石川出身という地の利が働く。実家の家と比較することができるので、だだ広い家とはおもっていない。むしろ、北陸の家としては標準的なサイズだ。
仏間と広間がつながった間取りは田舎特有だなとおもう。法事や葬式があったときように親戚一同が会するように設てある。広いはひろいが、なぜそのような作りなのか察しがつく。背景がわかると安心できるというのは、人間だれしもおなじだ。もっともそういったローカル知識が古家投資に要るかといわれれば、まったく必要ないけれど。
駐車場がない
もっとボロボロの古家をイメージしていたので一件目の古家物件としては状態もよく、好印象だった。不動産仲介業者の説明によると、この物件は駐車場がないのがデメリットだという。たしかに高岡も車社会なので、駐車場付きの戸建のほうが客付はしやすい。というか、戸建ならば駐車スペースがあってあたりまえの感覚である。
とはいえ、近辺には市役所や大きな病院があって、月極駐車場もある。そこまでの不便さは感じない。
通常の古家物件とことなるのは、これが任意売却になっていることだ。金融機関や弁護士など債権回収する側からすると、物件売却によって利益を出すという考えは希薄でむしろ早期に物件を処分し債権回収を終わらせたいのではなかろうか。売値をみても早く処分したいとの意図がみえる。そう考えると、この物件は思ったより安値で買えるかもしれない。