勉強会
物件を見終わったあと、高岡の駅にいって勉強会となった。その段にいたって、Kさんの素性があきらかとなる。Kさんは全古協を立ちあげた人物のひとりで、現在は理事をしている。理事は二人しかいないので、実質ナンバー2だ。むしろ再生士を束ねている教育する立場は、実質的な権力者におもえてくる。ツアー当初に「このおっさん誰?」とおもっていたのが、なんだか申しわけない。
話をきくと、大阪でやっていた株式会社カラーズバリューの古家リフォームから、現在の全古協の展開にいたったらしい。リフォームをする再生士と、客付する大家さん分離しないとビジネスとしてまわらないことに気づき、それで現在の再生士と投資プランナーの役割分担になったという。ここに来るまでにいろんな苦労があったのだろう。
本来ならここで想定家賃とリフォーム代を算出して物件購入価格の算定、買付の申し出となるがこの日はそんな流れにならない。
Kさんはリフォーム代の説明もそこそこに──というかそんなものほとんどしていない。いま考えるとそんな無茶苦茶な物件ツアーなどないのだが、それでもこの人についていけばなんとかなりそうと思えるから不思議である。Kさんの人徳のなせる業だろう。
はじめての買付
とりあえず、ここで僕は一件目にみた物件を買付したいと申し出た。様子見できた古家物件ツアーだったが、Kさんが買付してる姿をみていると高岡で買うのもアリだとおもえたからだ。なにより買付にふみきったのは、比較的安く買えそうだったのが大きい。リフォーム代をふくめても500万以下でおさまりそうだとの目論見があった。
とはいえ、これはあくまで自分の見立てにすぎず、この時点では想定家賃もリフォーム代も聞いていない。後から買付する段になってOさんから、仲介のおじさんもあそこは七万円いけるといってましたと聞いただけだ。そんな状態だから利回りもよくわかっていない。
僕の申し出に対し、Kさんはその場で株式会社カラーズバリュー名義で買付するよういっていた。そして例のごとく、けっこうな指値を指定している。
素人の僕からしても
──その値段通らないでしょ。
と思わざるをえない。
そこにくわえてKさんは、残置物は売主負担にしろと追加の指示をだした。たぶんその場にいたKさん以外の全員が、それは無理でしょとおもったはずだ。その時点でこの物件は通らなそうだなと、まったく期待していなかった。こっちとしても様子見なので、買付を経験できただけでもよかったなぐらいだ。仮に買えたらかえたで、ラッキーである。
目的と反省
今回の目的は、物件ツアーに参加することと物件価格とリフォーム代の目安を知ることだった。基本はオンラインで受講したとおりだった。だけど値付けの考え方を実践をとおして修正し、地域の特性を加味して指値をきめていく。そういう意味では、マストではないが、特定エリアの情報をもっていたほうがいいのだろう。
また物件の特徴はそのエリアに応じてことなるため、実際に現地をふんだほうがいいとわかった。投資商品であるなら金額と利回りとリスクでそろばんを弾けばいいのだが、不動産である以上リアルをみて良し悪しを判断したほうがいい。そのほうがあとで自分が納得できる。
当初の戦略としては少額投資をだった。金額としては400万円あたりがベストとかんがえていた。その点では今回の物件ツアーではめぼしい物件はなかった。ただ通常の古家投資としては、賃貸需要も物件もなかなかのものが揃っている。であれば、当初の戦略を変えたほうがいいかもしれない。
Kさんに振りまわされた感のある富山エリアの古家物件ツアーだったが、新たな発見とおどろきを得て無事に終了した。駅でKさんOさんと分かれ、あいの風とやま鉄道にのって一路実家にもどる。こうして激動の一日がおわった。ふう、やれやれ。